【体内時計の調節方法】食事・カフェイン・運動との関係

体内時計と食事の関係

食事は体内時計を同調させる因子であることが報告されている。ただし、同じ食事でも朝ごはんは体内時計を早め、夕ご飯は体内時計を遅らせる。そのため、体内時計を調節するためには、食事を食べる時間を考えることが重要となる。

また夜食は体内時計を遅らせ、肥満を誘導する。

人間の体内時計は24時間よりも長いため、朝食で体内時計を前進させるのが望ましいと考えられる。

体内時計を同調させるためには、食事はインスリンの分泌を促す炭水化物やDHA/EPAなどのインスリン機能を高める栄養素の摂取が望ましい。また、食事の前に十分な絶食時間を作ると、食による同調効果は強くなる。

また、マウスの実験で、「7時、12時、19時」の食事と「7時、12時、23時」の食事のパターンが検討されている。そして結論として絶食時間が長い後の食事に体内時計が影響されるという結果を報告している、つまり「7時、12時、19時」の場合は、食前の絶食時間が最も長い食事は7時の食事となり、朝ごはんによる体内時計のリセットによって体内時計が前進する。一方で、「7時、12時、23時」の食事の場合には、食前の絶食時間が最も長い食事は23時の夕食となり、体内時計が遅れ、さらに肥満につながるということである。

生活リズムが夜型に崩れていて困っているという人は、夕食を早い時間に食べ、朝食を食べるように改善していくと、朝型の生活リズムに変わっていくと考えられる。

朝食の欠食の影響

朝食は他の時間帯の食事と比べると、食べないという人が多いといわれている。この朝食の欠食は体内時計の後退作用、メタボリックシンドロームへの影響、心疾患のリスクの増加、学業成績の低下などの負の効果がある。

体内時計とカフェインの関係

カフェインは体内時計に対して強力な影響をもつ化合物である。夜中から早朝に摂取したカフェインは体内時計を前進させる効果がある。一方で、寝る前のカフェインは体内時計を遅らせる効果がある。

体内時計と運動との関係

抹消の体内時計は運動によって同調することが知られている。運動による交感神経の活性化、グルココルチコイドの分泌が、体内時計の同調のメカニズムとなる。

特にストレス負荷作用のある筋トレなような運動のほうが体内時計を動かす。

ヒトへの試験の結果から、起床後3,時間後および7時間後、つまり朝から昼にかけて運動負荷を行うと体内時計が前進することが報告されている。一方でプロボクサーの毛皮細胞の時計遺伝子の発現を調べた研究によると20~22時の筋トレは体内時計を後退させていたと考えられている。

よって朝から昼に運動した場合は体内時計を前進させ、夕方から夜に運動した場合は体内時計を後退させると考えられる。

運動とメラトニンの関係

また運動はメラトニン(後述)とも関係がある。

朝や午前中の運動はメラトニン分泌を止める。これによって、朝の眠気をなくす効果がある。

また夜中の運動はメラトニンリズムを後退させるということが報告されている。このことからも夜遅い運動は夜型化を促進する可能性が高いといえる。

運動の時間と睡眠の質の関係

夜遅い運動については、その後の睡眠への影響も調べられている。朝の運動は夕方の運動に比べて、その日の夜間睡眠中の心拍変異度(HRV)のHF(high frequency, 副交感神経活性の指標)が増加すると報告されている。逆に夕方運動すると、運動後も交感神経が優位な状態が続き、睡眠を妨害する可能性や睡眠の質、回復度が低下すると報告されている。

メラトニンと睡眠

メラトニンは夜寝る前に分泌が始まり、睡眠中に分泌ピークを迎える。そしてこのメラトニンには睡眠を促進する作用があると考えられている。

このメラトニンは中枢時計に直接作用することで、体内時計を調節する。その一方で、睡眠機構へも作用し、睡眠潜時の短縮やノンレム睡眠の増加を促す。

そのため、メラトニンは睡眠誘発ホルモンとして知られている。

その他にもメラトニンの作用は多岐にわたり、脳内に発現するメラトニン受容体1,2(MT1,2)への作用、肝臓や腎臓など抹消臓器に広く発現するMT3を介した抗酸化作用、抗不安作用、抗うつ作用が報告されている。

最後に(筆者の話)

精神疾患の影響も強いと思いますが、生活リズムが夜型になってしまい、日常に悪影響が出ていました。それを改善するために、調べた内容をまとめたものがこの記事です。

参考文献

書籍名    Q&Aですらすらわかる 体内時計健康法
出版社    杏林書院
著者    田原優(著) 柴田重信(著)